令和2年 12月定例会 一般質問
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質問 日本製紙釧路工場撤退の影響について
答弁 林業、古紙回収事業に大きな影響はありません
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◆質問
日本製紙釧路工場撤退の影響について御質問させていただきます。
日本製紙株式会社は、11月5日開催の取締役会において正式に釧路工場における紙・パルプ事業からの撤退を決議しました。
生産終了は2021年、来年8月で9月には設備を全て停止して、関係する従業員約250名は配置転換するとの方針で発表されております。
釧路工場は今年創業100年を迎え、釧路西港の背後にある大きな釧路工場の煙突は製紙工場のシンボルであり、「石炭・漁業・製紙」の三大産業として釧路市の発展を支えました。
この急な釧路工場の操業停止・撤退の発表に対し、釧路市では工場と関連・協力会社で約600人が働いており、家族を含めると2,000人弱の人口減少が予想されるとの見方を示し、急激な人口減などの影響を危惧し11月13日に東京本社へ出向き、釧路工場存続を北海道・市議会・商工会議所などと要請したところです。
撤退の理由に「ペーパーレスIT社会」の到来がありましたが、電子新聞・電子教科書・電子決済が当たり前になりつつあり、釧路工場が訴える需給バランスの適正化を図るには、操業停止による生産調整しか方法は無いのかと思うと、とても残念です。
中標津町への影響考えますと、林業においては間伐材をパルプ材として活用ができなくなる可能性があります。
今後、中標津町において伐期を迎えた大量のカラマツが、どのように製材・パルプ・チップ生産されていくのかはわかりませんが、少なからず林業・運送業において影響があると思います。
現在、間伐材・林産廃棄物の利活用に対し別海町森林組合が取り組んでいる、酪農畜舎の敷料としての「おが粉」、おが屑をさらに粉砕したものを「おが粉」と言うそうで、おが粉の生産などはフリーストール牛舎の敷料、牛のベッドとして、堆肥とおが粉を使ったコンポストバーンなどは、畜産クラスター事業の推進とともに需要が高まると思いますので、根室管内で新たに取り組むべき課題ではないかと思います。
また、釧路工場の生産能力は木材パルプに840t/日と古紙パルプ生産量は920t/日であり、古紙パルプの原料85%は関東からの集荷ですが、残りの15%は道東地域における古紙回収業者や町内会のリサイクル事業で集められてきた古紙や段ボールであり、各町内会に定着してきた資源リサイクル事業の推進に影響がないよう、令和3年度予算編成も含めて考慮する必要があると思います。
これらの課題に対しては新型コロナ対策で活動は現在停滞しておりますが、釧路根室管内の議員で構成する「釧路・根室地方森林・林業・林産業活性化を推進するための連絡会議」、通称釧根林活連絡会議と言っていますが、これにおいて問題提起を検討したいと思います。
この日本製紙釧路工場撤退の対応について、現時点でわかる範囲で結構ですので、町長のお考えをお聞かせください。
◆町長答弁
髙橋議員御質問の日本製紙釧路工場撤退の影響について、御答弁申し上げます。
日本国内における新聞用紙及び印刷用紙をはじめとする洋紙は、和洋の洋紙の需要低迷に伴い、操業から100年、石炭・水産と共に釧路の「三大基幹産業」の一角を担ってきた日本製紙釧路工場が令和3年8月をもって、紙・パルプ事業の撤退を表明したところであり、釧路市及び道東地域における雇用、経済、人口流出など多岐にわたり大きな影響が懸念されているところでございます。
これら報道を受けまして、本町におきましても林業会社及び関連会社に対し、今後の影響について調査及びヒアリングを実施したところでございますが、本町の林業会社で生産されるチップにつきましては、現在、日本製紙及び王子製紙との取引を行っており、受け入れ先はほとんどが日本製紙釧路工場となっております。
発表どおり釧路工場が閉鎖された場合につきましては、引き続き王子製紙及び日本製紙の子会社である日本製紙木材との取引となる予定であり、今まで同様、全量の受け入れ、価格についても多少の変動はあるとのことですが、ほぼ変わりなく取引される予定とのことでございます。
しかしながら、受け入れ先については苫小牧市、旭川市など遠方の製紙工場へ輸送となることや、木質バイオマスにつきましては紋別市や網走市への輸送となることから、距離が遠くなることによる輸送コストの増加が懸念されております。
次に、古紙リサイクルの現状でございますが、東北海道エリアは基本的に日本製紙及び王子マテリアの2社へ輸送しており、日本製紙釧路工場が新聞用紙の原紙を受け入れ、雑誌・段ボールについては王子マテリアが受け入れております。
閉鎖された場合における新聞用紙の原紙受け入れにつきましては、古紙回収業者及び王子マテリアへ確認したところ、現時点においては不明確ではありますが、古紙リサイクル自体が無くなることはなく、令和3年8月までの間に調整され受け入れ先が決まる予定であり、本町の資源リサイクル事業につきましても影響なく継続して実施する予定でございます。
また、間伐材・林産廃棄物の利活用につきましては、引き続き積極的な需要開拓が必要であり、現在、別海町森林組合が取り組んでおります酪農畜舎で使用される敷料としてのおが粉の生産は、平成26年に道の補助事業を活用して、おが粉製造機一式を導入したものでございまして、町外へ出荷していたチップ原木を有効利用し生産されております。
本町におきましても、中標津町地域材利用促進協議会の中で林業会社や関係機関と連携をしながら、おが粉のニーズや生産コスト、価格などについて調査を行い、併せて根室管内広域による取り組みの可能性についても研究してまいりたいと考えております。
なお、今後につきましても情報収集をしながら多岐にわたる影響について適切に把握するとともに、動向に注意してまいりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。
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